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淡路島に伝わる記憶

こんにちは、アナンダラバ淡路島調査班の佐々智美です。

古くから、淡路島は海と森の恵をうけた豊かな島でした。
また、海の要所として、他の地域との交流もさかんでした。

そのかつての活況を裏付けるように、縄文時代の遺跡が沢山発見されています。
淡路島の宿泊地と「いのちの饗宴」開催地である東浦地区には、佃遺跡という西日本最大規模の遺跡があります。



 


私は、ワークショップを開催するために淡路島の歴史、風土や文化を色々と調べるうち、石上神社に代表される淡路島の荒神信仰にまつわるひとつの論文を知りました。


「淡路島の災害の記憶と文化」
http://www.nichibun.ac.jp/graphicversion/dbase/forum/pdf/fn204.pdf


それはシンシア・ネリ・ザヤス氏というひとりの人類学者が、実際に淡路島の地元の方々と過ごし、協力を経て、「あるお坊さんが、大地の裂け目から先祖のメッセージをどうやって読み取ったのか」を知り、「日本人のもつ災害の知恵」について語ったものでした。


ザヤス氏によれば、1970年代から90年代にかけて、淡路島は大規模な開発の波に襲われます。
70年代から、神戸市の都市開発に使う資材として、あるいは関西国際空港、そして工業用地の埋め立てのために、山が削られ、大量の土が運びだされていきました。バブル期には、ゴルフ場や別荘地の建設を狙った投機家により、さらに森が失われました。削られた山のなかには、荒神様の祠がある森もあったそうです。


そして明石大橋が開通する1年前、阪神淡路大震災が起こりました。


震災の年の冬、毎年淡路島各地で行なわれる祭りの祭司をつとめた僧侶が、荒神様の祠の多くが、震災によって発見された野島断層の上に並んでいるという奇妙な偶然の一致に気がつきました。


この一連の出来事は地元の人にとって、「大昔の祖先たちは、後世の人々に、危険な場所はどこであるかを知らせるために、そこに荒神の祠を祀った(ザヤス氏)」ということを、思い出させるには十分だったのではないでしょうか。





淡路島だけでなく、自然の中に暮らす人々の間に古くから伝わる信仰は、単なる迷信ではなく、自然智の表れのひとつであって、実際のところ、人間が自然と付き合うやりかたとして、とても合理的なものではないか、と思います。

社寺のある場所に広がる「鎮守の森」も、環境保全のしくみの一つです。
自然生態学者の宮脇昭氏によると、森は、植林といっても、何でも植えればよいというわけではないそうです。その土地には適した緑の自然体系があり、その破壊が一線を越えてしまうと、もとの自然体系が失われてしまうことがあります。
鎮守の森は、社や祠をつくって森を聖域としておくことで、その土地にあるべき木々の種を保全するための仕組みなのです。


それは、昔の人々が何か特別な霊力を得るために設置したものではなく、その土地に住み、自然の恵み、すなわち生きていくために必要な分の食料を確保するための、現実的な知恵だったのだと思います。




震災の後、淡路島の人々は、森が失われ丘陵地となった場所に、花の種を植え、新たな観光名所として、訪れる人々の目を楽しませています。

それは、自然の力に対する記憶を思い起こした人々が、ふるさとの淡路島の自然が、開発という名目で地元以外の資本によって無尽蔵に壊されないよう、市民と行政が観光資源として包括的に管理し、守り活かそうとする新たな試みであるように、私には感じられます。



また、淡路島の石上神社のように、瀬戸内海には、荒神信仰と結びついた巨石信仰が残る所が多いそうです。


今回の淡路島ワークショップで訪れる沼島も、地元の方の信仰が厚く残っているようです。なかでも、沼島のシンボルとして敬われている「上立神岩」は、茨城から四国を横断して熊本へ達する日本最大の活断層である中央構造線の真上に立っています。

プレートテクニクス理論によると、約7000年前に、今は地球の内部に沈みこんで消えてしまった古太平洋プレートに乗って移動した下半分が、ユーラシアプレートの東端にできた上半分とくっついて日本列島の原型ができた、そのつなぎ目が中央構造線です。


こうした成り立ちを考えると、ここがおのころ島であるという説もあながち迷信ではないような気がしてきますが、プレート移動説も知らなかったはずの昔に、どうしてそのような信仰が広まり始めたのか、不思議なものです。

沼島の訪問を勧めてくださった、うさとジャパンの中村社長によると、島の松の木が枯れ始めると、大きな変化があるという言い伝えが地元の方に伝わっており、今、それが現実に起こっているそうです。
淡路島に訪れる際には、土着の人々に荒ぶる神と畏れられた、巨大な土地のエネルギーの存在に、思いを馳せ、皆様と一緒にお祈りできたらと思います。



なお、淡路島ワークショップは、アナンダラバの活動に賛同、ご協力を頂いている「うさとジャパン」主催による、京都からの1泊2日のバスツアー「神秘の島 沼島散策 おのころ島ツアー」となります。単なる観光の地でない、淡路島を感じられる濃い旅になりそうです。


神秘の島 沼島散策 おのころ島ツアー
★セレワン in 淡路を10倍楽しむ、1泊2日バスツアー!★
http://usaato.exblog.jp/11248743/



皆様のご参加を、心よりお待ちしております。

at 17:49, 先住民ホピ族(水氏族)ルービン・サウフキーのアナンダラバ, DIRECTOR'S NOTE

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